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2007.4.4
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細菌バイオフィルム
細菌は菌周囲に自身を保護する多糖体の膜を作り、異物に対する強固な付着、低抗原性、抗菌療法に対する抵抗性亢進など、環境適応形態としてバイオフィルムを形成する。中心静脈カテーテル、尿道カテーテル、気管内挿管チューブなどの異物にバイオフィルムの形態で細菌が付着して持続感染を起す。catheter related-blood stream infection(CR-BSI)は表皮ぶどう球菌、黄色ふどう球菌、緑膿菌が多い。人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associate pneumonia:VAP)は人工呼吸器開始48時間以内に発症する肺炎で患者の8〜28%に発症する。 1)緑膿菌バイオフィルム 粘膜または異物に付着した緑膿菌はクリコカリックスを産成しこれを介して凝集するバイオフィルム感染症は難治性であるが、炎症反応は弱く徐々に増悪する。 2)クオラムセンジング機構 quorum sensing system 細菌自身は、菌体密度を感知し、その濃度に応じてバイオフィルム形成をコントロールしている。 3)高齢者などでは嚥下反射や咳反射が低下しており、不顕性誤嚥を生じる。脳梗塞患者では、大脳基底核に脳梗塞が生じてドーパミンが低下することにより、サブスタンスPの合成が低下し、それにより迷走神経知覚枝で合成されるサブスタンスPの放出が少なくなり嚥下反射や咳反射が低下する。 4)バイオフィルム感染症の治療 14員環、15員環マクロライドが低濃度でグリコカリックス、アルギン酸の産成を抑制することが知られている。 ・14員環系 1.エリスロマイシン 2.ロキシスロマイシン(ルリッド) 3.クラリスロマイシンCAM ・15員環系 アジスロマイシン(ジスロマック) ・16員環系 1.アセチルスピラマイシン 2.ジョサマイシン 3.ロイコマイシン 4.ミオカマイシン |