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2007.5.1
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大腸癌はわが国において、急速に増加しており、厚生労働省の統計では、2005年度には約41,000人の死亡者がみられている。癌死亡のなかで男性で4位、女性では1位の死亡者数である。 大腸癌は食習慣などの環境因子が大きい癌と考えられており、日本人の大腸癌増加の要因として生活の欧米化が疑われている。米国に移住した日本人の大腸癌発生頻度が、普通の日本人よりもはるかに高く、白人を上回るほどであり、高脂肪、低繊維という食習慣の寄与が考えられている。 多くの疫学的研究により危険因子として肉類、予防因子として野菜、果物があげられ、さらに近年では危険因子として肥満、予防因子として身体活動、運動習慣が確実視されている。 運動習慣は大腸癌の予防だけでなく発症した大腸癌の予後改善効果についても注目されており、運動強度としては一般的な適度な運動(速歩かそれに匹敵する運動を1日30分以上)が推奨される。その機序として肥満の改善、発癌物質の生成抑制、腸管蠕動の亢進、細胞性免疫の増強、活性酸素産生の抑制などがあげられる。 大腸癌と肥満との関連は多くの疫学研究に示され、メタボリックシンドロームとの関連も注目されはじめている。メタボリックシンドロームを構成する因子は肥満、高血糖、高血圧、高脂血症であるが、そのうち肥満、高血糖は大腸癌との関連が指摘されている。 以上のように大腸癌は生活習慣と密接に関係しており、生活習慣の改善が心血管性疾患や糖尿病を予防するように、大腸癌の予防につながる可能性がある。 |