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2007.8.1
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感染症は平成15年10月に改正された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」によって5類に分類されています。直ちに届出が必要で消化管が主な感染の場となるものは二類感染症のコレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフスと、三類感染症の腸管出血性大腸菌感染症(O-157腸炎)です。 最近では原因菌が海外から持ち込まれる機会も多くなっています。2001年11月に発生した輸入カキによる細菌性赤痢は、広域食中毒の事例ですが、同じ食品が日本各地で摂取されたため散発性に発生が見られるなど国際化した社会情勢を反映しています。また、1996年に社会問題となったO-157腸炎は三類感染症として全数把握する疾患に指定されました。 一般的な細菌性の感染性腸炎は食中毒として届けられているため、その発生動向を把握できます。腸管感染症の代表的な菌は、サルモネラ、ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどですが、各菌の食中毒発生数は流行によってやや異なりますが、10年間の推移としてはやや減少傾向にあります。 一方最近増加が目立つのは小型球形ウイルス(ノロウイルスなど)による腸炎で、2006年の年末から2007年の春先にかけて集団発生がみられ、感染力が強いため病院で医療関係者を含む院内感染まで引き起こし、院内感染の防止が改めて重要視される結果となりました。 細菌とウイルスによる腸炎では発生に季節差があり、細菌性は夏季に、ノロウイルスは冬季に多いのが特徴的です。 感染源に関しては、カンピロバクターは鶏肉、サルモネラは生卵(鶏卵)、O157は牛肉が一般的ですがいずれも十分な加熱により予防できます。腸炎ビブリオはイカや貝類、他ほとんどすべての海産魚介類生食が原因となりますがやはり十分な加熱で予防できます。 ブドウ球菌は化膿性の病巣などから食品中に移行すると、そこで増殖し耐熱性の毒素を産生します。これは加熱によっても予防できないため、特にこの季節、食品の取り扱いに注意する必要があります。 |